新大学生と新社会人に贈る「ハヤカワセール・これを買っとけば間違いなし」な9作
ねえ聞いて! 4/13までハヤカワの1000点もの電子書籍が50%オフになるセールをやっているらしい!
来月から大学生になるきみ! そうきみだ!
「SF? ああ、ブラッドベリもいいけど、今はケン・リュウにはまってるかな……」とか清楚めの文学少女にかっこつけたいなら、今がチャンス! どうせ暇だし読み漁れ!
あと自分で言っといてなんだが文学少女は別に清楚ではない。耳年増だからね。
来月から社会人になるきみにもおすすめだ! SFやノンフィクションはガンにはきかないがそのうちきくようになる。つまり仕事に直接役立つわけじゃないけれど、仕事まみれで疲れて嫌んなったときにじわりじわりと効いてくるぞ! 現実の厳しさを乗り越えるために読みこなせ!
というわけでまずはSFでセールになってる作品の中からおすすめを紹介しておくよ!
まずはブラッドベリから有名どころを。
人々が娯楽に夢中になる一方で、本を読むことや所持することが禁止されている世界のおはなし。
焚書、という言葉に中二病的トキメキを感じたならば、そのトキメキが微かな違和感と恐怖に塗りつぶされるのを実感するとよいでしょう。
ネバーランドと呼ばれる、子どもたちだけが立ち入ることを許されたアッパーな島でのあれこれ。言葉を用いて戦う彼らの、ラノベっぽくもありながらSF度強めの戦いに酔いしれるとよいでしょう。
牧野修ってなぜかホラー作家のイメージなんですけれどSFもえげつのうて良い。
『ドアの開けられた部屋の数をnとすし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ』
という極小の設定から、あれよあれよと言う間に開陳されてゆく世界観のスケールが大変魅力的。良い意味で現実と乖離してゆく喜びを味わうとよいでしょう。
百合か? 百合ではないかも。でも片鱗はある。恋とはつまり執着心ですので。
百合と言えば、百合SFの代名詞である「裏世界ピクニック」がありますね。これもセールだけど個人的には「そいねドリーマー」を推したい。
なぜならば、やわらかお布団の上でレムレムする少女たち、の図がたまらなくかわいくて健気でそれでいて、ほんの僅か官能的だからです。
沙耶とひつじの、無意識下でも互いを求める姿に悶絶するとよいでしょう。ラストシーンとかめちゃいい。そこだけ映画化してほしい。いやもちろん全部映画化してくれていいんだけれどもほら「パプリカ」という先駆者があるからさあ
百合の次はバディものだ!
ロスに住む冷静沈着な黒人青年が主人公。マフィアめいた連中を牽制しながらも、結局アツい展開になるのはもはやこの手の小説のお約束みたいなもんで、ちょっとしたなろう小説と言っても良いかもしれない。
黒人特有のテンポのよい会話と、映画のようにスピード感たっぷりに展開してゆくストーリーにのめりこむとよいでしょう。
お次はノンフィクション部門。ハヤカワはノンフィクション部門もたいへん充実しているのだ。
スマホいじってると平気で二時間経ってるとかありますよね。別に急ぎの用事もないのに友達といるときでもスマホ触っちゃうとか。
人間って、いくらSNS上で色んな人と交流しても満たされない気持ちがあるらしい。対面で会うに越したことはないってことらしいんですが、そう考えるとTwitterをチェックする手も少しは……いやちょっとくらいは……止まるかも?
この本を読むうちに、そう言えば最近、一人でじっくりと考え事をしなくなったなあということに気づくとよいでしょう。気づいたらこっちのもんで、あとは徐々に実際の交流を深めていく努力をするべし(と、自分に言い聞かせる)
結構ハラハラする!
お金を出してCDを買って、というかたちで手に入れていた音楽がどうしてタダになっていったのか? という話。
mp3という技術の発展、インターネットの普及、音楽シーンの変遷(というとエセ業界人みたいだが)、流行りを作り出す音楽市場の重鎮……といった要素が絡みあい、利害を争い、まるでスパイ小説を読んでいるような感覚に襲われます。映画化を楽しみに待つとよいでしょう。
文庫じゃなくてごめんだけど、紙だと分厚い本がこの価格で読めるのはお値打ちなので……!
「生物とかよくわかんないし……」というあなたでも、読んでゆくうちに、動物の体がいかに精巧に、けれどあそびを持って設計されていることに気づき、その面白さにのめりこむでしょう。生きてる! って感じがするよ。
ただ一方で「ゲノム編集」「新優生学」といった、意思を持って生物を作り出す未来も示唆されていて、自然体ならば「まあ仕方ないよね」と許される余地がなくなっちゃうのかも……と、ちょっと薄ら寒く感じる場面もあったりなどして、誠に面白いです。
どうか最後まで通読して「親密なる人類史」という副題の意味を噛みしめるとよいでしょう。
これはがんを通じて医療の歴史を振り返る話で、一度は有効かと思われた方法が実はそうじゃなかった! みたいな展開もあったりして、進歩はまっすぐ右肩上がりのものではないんだなと思い知らされます。
連綿と続く医者たちの苦闘が、今の医療水準へと人を到達させたのだな、という一方で、がんとの戦いのもう一人の主人公は「患者」であることに気づきます。それは、著者の受け持ちの患者が文中登場させることで見えてくるものです。そこに著者の誠実さを読み取るとよいでしょう。
あとおまけ、これはセールではないしKindleでもないけれど、同著者の本でオススメなので三冊一緒に読んでみると濃厚な体験ができるでしょう。
三体とかグイン・サーガシリーズとか夏への扉とかタイタンの妖女とか、他にも面白いSFが50パーオフになっているので、ぜひぜひこの機会に読んで脳みその体力をつけましょう!
私もまだ読んでない本たくさんあるので、ばりばり買ってばりばり読んでまたオススメあったら教えます。